中期経営計画
芦森グループ中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)
「新」Ashimori Vision 2028
Visionの見直しと社是(経営理念)
当社は、2028年に創業150周年を迎えます。ロープ製造を祖業とし、繊維で培った要素技術を活かして事業内容の多角化を継続的に進め、現在では、繊維産業の枠を越え、自動車用セーフティ部品やライフラインの更生といった“安全・リニューアル”分野を主力事業としています。「第120~122期中期経営計画」では創業150周年に向けて更なる事業の発展を目指しましたが、計画未達となりました。グループの隅々までビジョンを共有できなかったことがその根底にあり、直面している経営環境や克服すべき問題点を再認識した上で、【ミッション(Mission)】、【ビジョン(Vision)】、【バリュー(Values)】を従業員が共感できるものに見直し、意思統一をはかるためのスローガンを作成しました。社是の精神を引き継ぎながら、培われた技術力を活かし、世界に通じる“Excellent Company”を目指して企業風土改革を進めてまいります。
MVV

社是(経営理念)
- 1.信用を重んじ、堅実を旨とする。
- 2.人の和と開かれた心で活力ある企業を築く。
- 3.創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する。
Mission Vision Values
Missionミッション
“私たちの使命は、命と暮らしを
守る
製品を提供することです”
ミッションは当社の存在意義です。当社の製品の多くは、事故や災害時に人命を守ることや救助すること、また暮らしの中で事故・災害を未然に防ぐことを目的に使われます。このような製品を確実な品質で提供することにより、当社は社会から存在意義を認められます。
Visionビジョン
“私たちは、すべての人々に信頼さ
れる
企業グループであり続けます”
ビジョンは当社がミッションを通して目指す会社の姿です。当社の存在意義であるミッションを長期に亘り果たし続けることで、取引先やエンドユーザー、株主、地域社会、そして従業員やその家族から信頼を得ることができます。
Valuesバリュー
“私たちは、誠実に、ルールを守り、
品質最優先のものづくりに取り組みます”
バリューは当社が重んじる価値観です。ミッションを果たしビジョンを達成するためには、製品に求められる品質が揺るがぬよう、あらゆる意思決定と業務実施の場面において高い規範意識が必要となります。
スローガン

芦森グループ人材Vision
企業の理念に共感し、その一員として社内外に関わり、そのフィードバックとして感謝されることが絶対的な仕事のやりがいになります。
このために求められる「芦森パーソン」としての人材像を「芦森グループ人材Vision」として策定しました。
芦森グループ人材Vision
高い専門性と幅広い視野、論理的展開力を有し、スピード感を持って問題解決ができる人材
- 「向上心」:現状に満足することなく常に自己研鑽に励む人材
- 「実行力」:目標を高く掲げて「有言実行」で自ら行動する人材
- 「発想力」:技術の応用と革新を生む柔軟な思考を持った人材
- 「責任感」:他に責任を転嫁せず規律を持って問題解決に取り組む人材
- 「統率力」:人を巻き込む発信力で組織をひとつにできる人材
人材育成方針
- 1.会社は、成果を上げた人、努力を惜しまない人を公正に評価します。
- 2.会社は、社員教育を充実させ、社員の成長を後押しします。
- 3.会社は、社員が働きやすい職場環境と風通しが良い風土の構築に努めます。
芦森グループ企業行動指針
持続可能な社会への取組みやより一層のガバナンス向上は、企業存続のための条件であり、またビジネスチャンスでもあります。
時代の変化を踏まえて、「企業行動指針」を見直しました。
芦森グループ企業行動指針
- 1.安全と品質を最優先に、製品・サービスを安定的に提供する責任を自覚し、これを社会的使命として行動する。
- 2.国の内外を問わず、全ての法律やルールおよびその精神を遵守し、公正で自由な企業活動を行う。
- 3.社会秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力とは一切の関係を遮断する。
- 4.株主はもとより、広くステークホルダーとのコミュニケーションをはかり、企業情報を積極的かつ公正に開示する。
- 5.従業員を公正・適切に処遇するとともに、安全で働きやすい職場環境を確保し、ワークライフバランスと健康に配慮する。
- 6.人権を尊重し、様々な文化・習慣や価値観を受け入れ、多様性の確保を推進する。
- 7.地球環境問題への対応を重要な経営課題と認識し、持続可能な社会の実現のため積極的、能動的に取り組む。
全社戦略と目標
実行全社戦略
- ① 成長市場である自動車と管路更生分野への経営資源の集中
- ② 新商品の展開と新規顧客・新市場への販売強化
- ① 財務体質の強化(ROIC導入と自己資本比率アップ)
- ② 生産性・品質意識改革
- ③「芦森グループ人材Vision」に基づく人材育成
達成数値目標
実現プライム市場
上場維持基準クリア
利益計画
社内業務 委託費 |
第121期2021/3月期 実績 | 第122期2022/3月期 実績 | 第123期2023/3月期 計画 | 第124期2024/3月期 計画 | 第125期2025/3月期 計画 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売上高 | 自動車安全部品事業 | 33,594 | 35,718 | 37,800 | 36,000 | 37,600 | ||
機能製品事業 | 17,621 | 17,764 | 19,200 | 21,000 | 22,400 | |||
計 | 51,248 | 53,514 | 57,000 | 57,000 | 60,000 | |||
営業利益 (経常利益) |
自動車安全 部品事業 |
控除前 | ▲ 1,278 | ▲ 877 | 100 | 400 | 800 | |
控除後 | ー | ー | ▲ 300 | 0 | 400 | (注1) | ||
機能製品 事業 |
控除前 | 2,845 | 2,556 | 2,450 | 2,900 | 3,200 | ||
控除後 | ー | ー | 2,150 | 2,600 | 2,900 | (注1) | ||
本社部門 | 控除前 | ▲ 1,214 | ▲ 1,142 | ▲ 1,300 | ▲ 1,300 | ▲ 1,300 | ||
控除後 | ー | ー | ▲ 600 | ▲ 600 | ▲ 600 | (注1) | ||
計 | 359 | 536 | 1,250 | 2,000 | 2,700 | |||
当期純利益 | ▲ 433 | 510 | 1,000 | 1,500 | 2,000 | (注2) | ||
1株当たり配当(円) | 0 | 25 | 50 | 75 | 100 | |||
配当金 | 0 | 150 | 300 | 450 | 600 | (注3) | ||
配当性向 | 0% | 29% | 30% | 30% | 30% |
(注2)3年累計で 4,500百万円
(注3)3年累計で 900百万円(支払ベース)
設備投資計画・資金計画
2023年3月期(第123期) 期首残高 |
現預金 | 3,000 | ||
---|---|---|---|---|
借入金 | 16,000 | |||
自己資本 | 16,000 | |||
投下資本 | 32,000 | |||
3期累計(第123~125期) | 最終利益 | 4,500 | ||
配当金 | ▲900 | |||
差引 | 3,600 | |||
設備投資 | 自動車安全部品 | 4,500 | ||
機能製品 | 2,300 | |||
本社+予備 | 700 | |||
小計 | 7,500 | |||
減価償却費 | 7,500 | |||
差引 | 0 | |||
2025年3月期(第125期) 期末残高 |
現預金 | 3,000 | ||
借入金 | 12,400 | |||
自己資本 | 19,600 | |||
投下資本 | 32,000 |
- ・財務基盤の強化を優先し、減価償却費の範囲内で投資案件を厳選する。
- ・収益向上に繋がる新規投資案件については、別途対応する。
- ・自動車安全部品事業
- 基幹システム更新
- 次期シートベルト開発対応設備
- ・機能製品事業
- パルテム新工法対応工場増設
- 防災大口径成型設備
自動車安全部品事業本部


環境認識
- ・自動車業界は、CASEやMaaSの動きが加速し、勢力図が大きく変化する。
- ・自動車用セーフティ部品の需要は堅調に推移する。エアバッグについては、用途の拡大や途上国における安全規制の強化により、更なる市場の拡大を予想する。
-
・自動車安全部品に対する要求は、性能面・コスト面ともに更に厳しくなる。
一方で、車種や仕様の統合等によりモジュール化が進む。結果、メガサプライヤーとのコスト勝負となる機会が増え、事業環境は厳しさを増す。 - ・現在のサプライチェーンの混乱は早晩解決するが、より一層の安定供給体制の整備が完成車メーカーから求められる。
- ・製造に際しては、カーボンニュートラル等、環境問題に対する取組みが求められる。
課題認識
- ・営業赤字からの脱却のための構造改革。
- ・豊田合成(株)との業務提携の推進。
【豊田合成(株)との協業の目的】
セーフティシステム事業において、相互の事業資産とノウハウを活用して、技術開発や生産、購買などの分野で協業体制を構築し、シナジー効果により競争力向上を目指す。
- ①自動車用セーフティ部品のシステム及びコンポーネントの技術・開発領域における協業
- ②両社の製造拠点の相互活用やモノづくりのノウハウの共有による生産体制及び品質管理体制の強化
- ③購買などの分野での協業体制の構築によるサプライチェーンの最適化 等
*本中期経営計画期間は豊田合成(株)との業務提携の「基礎固め」期間と位置付ける。
自動車安全部品事業本部方針
- (1)豊田合成(株)との資本業務提携を活かし、新規顧客・新規市場を開拓する
- (2)商品競争力の向上
- ①品質力強化 ②コスト競争力強化
③開発・営業力強化
- ①品質力強化 ②コスト競争力強化
- (3)「芦森グループ人材Vision」に基づく人材育成
施策
- (1)全体
- ◆ 品質・製造管理の強化(TPSの導入)
- ※TPSは、トヨタ生産方式(Toyota Production System)の略
- ◆ 業務の定型化とルール順守
- ◆ 全体最適システム再構築
- (2)シートベルト関連
- ◆ 新規商品の開発・新規顧客の開拓(豊田合成(株)との協業によるセーフティシステムとして)
- ◆ 製造工程の合理化
- (3)エアバッグ関連
- ◆ 設計力向上・部品の共用・拠点の活用
- ◆ コンカレントエンジニアリングの定着・仕様の統合
※コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering)は、製品設計と製造、販売などの統合化、同時進行化を行うための方法
- (4)内装品関連
- ◆ 統合型デザイン製品のグローバル展開
- ◆ 提案型サプライヤーとしての二極化対応新製品(高級化と低価格)の開発
機能製品事業本部


注:パルテム(Pipeline Automatic Lining System)は、埋設された管路を掘り起こすことなく補修する管路更生事業。
注:パルテム(Pipeline Automatic Lining System)は、埋設された管路を掘り起こすことなく補修する管路更生事業。
環境認識
- ・国内インフラの老朽化と耐震強化の要求の高まりにより、管路更生事業の市場規模は拡大基調にある。
- ・消防関連の市場は飽和状態にあるが、異常気象による水害対策のニーズが拡大している。
- ・産業資材分野では、自動車のEV化によりタイミングベルト用基布の需要が減少する。
一方で、高齢者及び女性が活躍する場が年々拡大し、物流分野その他で労働環境の変化に対応した市場要求がある。 - ・カーボンニュートラルなど環境負荷への配慮が求められる。
課題認識
- ・第120期(2020年3月期)に過去最高の業績を達成後、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、減収・減益基調が続く。これに歯止めをかけ、再び成長基調に乗せる。
- ・社会環境の変化は「逆風」ではなく、ビジネスチャンスとして捉える。伸びる市場にターゲットを絞り、新たな商品戦略を構築する必要がある。
機能製品事業本部方針
- (1)サステナビリティを意識した商品の展開を目指す。
- (2)成長市場商品へ戦力を集中し収益拡大をはかる。
- (3)新商品の開発と新規分野への拡販を推進する。
- (4)「芦森グループ人材Vision」に基づく人材育成。
施策
- (1)全体
- ◆ 拠点再編を視野に入れ生産性の向上を継続する。
- ◆ 品質管理体制を強化する。
- ◆ ルール順守の徹底と常時確認を継続する。
- ◆ 生産性向上と新商品・新工法開発に向けた積極的な設備投資を実施する。
- (2)パルテム部門
- ◆ 国内インフラ市場の成長基調に貢献する。
- ◆ 既存工法に並ぶ新工法を開発する。
- ◆ 下水道分野に偏らない上水道、農業用水分野への展開を強化する。
- (3)防災部門
- ◆ 新商品の投入により消防用・消火栓用ホースのシェアを拡大させる。
- ◆ ポータブル給排水システム搭載車を商品化し市場投入する。
- ◆ 大容量給排水システムの実績をあげ、量産体制を確立させる。
- (4)産業資材部門
- ◆ 既存商品の改善・改良を進め、新分野への展開をはかる。
- ◆ 環境問題や働き方改革、ポストコロナをターゲットとした新商品を開発する。
本社部門
技術統括本部
基本方針:未来へ向けた技術ナビゲーターとなる
施 策:
- ◆ コアテクノロジーを深化させる技術研究開発の推進
- ◆ 既存の事業領域の一歩先を行く次世代商品の創出
- ◆ 事業領域を横断した品質保証体制の強化
4つのコアテクノロジー
- 織る・組む
- 巻取る・固定する
- 樹脂(被覆)加工
- 膨らませる
管理部門(経営管理部門・人事総務部門)
基本方針:プライム市場上場企業としての管理体制の構築
施 策:
- ◆ 報酬体系の明確化と新陳代謝促進による組織の活性化
- ◆ 多様な人材活用(ダイバーシティ)と働き方改革の推進
- ◆ ROIC経営の導入による事業価値の向上
- ◆ データ活用の推進と情報セキュリティの継続的向上
- ◆ サステナビリティへの取組みの強化
- ◆ 積極的な情報開示と投資家との対話による市場における認知度の向上
- ◆ コンプライアンスの徹底と内部統制の強化
詳しくは下記をご覧ください。
第123~125期芦森グループ中期経営計画